BSフジ・プライムニュースの話2

さて、番組のタイトルは「待機児童ゼロを実現 横浜市長」ということでしたから、取材は横浜保育室、コンシェルジュなど、横浜市長の待機児童ゼロを実現させた手腕に焦点を当てた番組構成でした。そこに、なぜ長田が起用されたか?そこは番組のプロデューサーに聞かなければ真意はわかりません。

私としては、既に「便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの」を出版していましたから、その本を読んでくださり、林市長の進める待機児童ゼロ作戦に異論をはさんでくれる人材を求めていたのだと理解し、私の日頃考えていることを正直にお伝えしようと心に決めました。

幸い、フジテレビのお迎えが遅く、遅刻したことによって、まったく事前の打ち合わせ無しに本番を迎えましたから、私としては、番組の趣旨を考え、自分の発言を調整しなければならないような指示もありませんでしたので、考えていたことを発言できたことは良かったと思っています。

NHKの某プロデューサー氏も、この番組を見て、次のような感想を下さいました。

「まずは、色々な意味で『拍手!』でした。
第一は『この番組が長田先生をゲストに起用したこと』です。
先生が林市長に対してどのようなお話をされるか、担当のディレクターは事前に分かっていたでしょう。分かっていて先生を起用した番組ディレクター、それを許したプロデューサーに敬意を表したいと思います。
長田先生をゲストに、それも一人だけのゲストとして選んだ勇気は素晴らしいと思います。
この番組には株式会社の参入を讃えるような意図的なものがなかった。司会者も決して林市長に迎合してはいなかった。そして、長田先生がご出演なさったことで、この番組は、決して『橫浜市の取り組みを讃える』 ものにならなかった。しかも、林市長自身、取り組みや認識の不足、今後の課題などを認めざるをえないことになった結果まで導きました。今のNHKにはできない番組だ、と思いながら見ました。」

このような応援をいただけるので、私は私の持論を自信をもって展開できます。本当に有り難うございました。

さて、問題は株式会社の配当についてです。この点についてはしっかり論じなければならないと思っています。次回に続いていきます。

BSフジ LIVE プライムニュースに出演しました。

2013年5月15日。BSフジのライブ・プライムニュースに出演させていただきました。

出演の依頼は前日14日にありました。杉並区の行政不服申請で大きくニュースに取り上げられていた待機児童問題は、安倍総理のウーマノミクス・”横浜方式に続け”との宣言もあり、今や林横浜市長は待機児童ゼロを実現させたヒーローとなっています。その橫浜方式についてどうかということで、番組から私に出演依頼があったのです。

夕方には担当者からテーマに沿った問題について、電話で質問をされ、それに答えた後、後半のワークライフバランスの問題についても発言してもらえるかとの依頼でしたので、即了解をし、出演を決断しました。

このプライムニュースでイケダハヤトさんを知り、イケダさんのご援助でブログも書くことができるようになりましたので、私にとってはとても価値のある番組です。そして、と、プライムニュースであれば、現場の持っている問題をある程度きちんと話す事ができるかもしれないと思ったからです。

さて翌日の朝、番組の構成表をファックスでいただくと、タイトルは『待機児童ゼロへ急改善 市長が語る”横浜方式”』ということで、とにかく”待機児童ゼロ”を実現させようとしている林市長の手腕と成果を誉め称えるような流れになっており、私の存在はオカズのようでありました。

しかし、なぜ、横浜保育室のような“便利な保育園”に対して異論を唱えている人間が、そこにコメンテーターとして採用されたのでしょうか?よく、考えてみました。つまり、プロデューサーは、何らかの意図をもって私を採用した。つまり、私の役割は、林市長の”横浜方式に異論をはさめ”ということだと理解したのです。

でも、ちょっと心配でしたので、松居和先生に電話し、もしフジテレビが了解してくれたら、一緒に出ていただけないかとお願いしました。

番組はライブですから、ちょっと言葉を間違えればとんでもないことになります。2週間ほど前に、森雅子少子化担当大臣がこのプライムニュースに出演したときは、隣に藤沢久美さんが居て、森さんを養護するように発言をされている場面を見ていたので、松居先生にその役割をしていただこうと思ったのです。

隣で支えてくれる人がいれば、勇気がでます。松居先生は一つ返事で了解してくださいました。

しかし、番組の構成と人選は既に決まっていて、変更の余地はありませんでした。そこで、覚悟を決め、一人でプライムニュースに乗り込むことにしました。
さて、15日18時15分前に、フジテレビからのお迎えタクシーに乗り込みました。

ところがです。中央高速は集中工事で高井戸まで2時間という渋滞表示。19時15分にはスタジオに到着して打ち合わせするとの段取りになっていましたが、国立辺りで車はぴたっと止まり、動きません。さて、どうするか?

担当ディレクターに電話すると、メドが見えたら連絡が欲しいといいます。遅れたら遅れたなりに対応するというのです。まあ、私の存在というのはその程度のものだということでしょう。

ノロノロ、ノロノロと、それでも車は進みましたが、高井戸辺りで、既に20時10分前。20時ジャストに番組が始まって10分経過した段階でも、私はまだレインボーブリッジの上にいました。「踊る大捜査線」気分です。

20時20分にやっとフジテレビの玄関に着きました。待っていてくれたスタッフと一緒に直ちにスタジオに入りました。もちろんノーチェックです。

既に、林市長、反町・八木アナウンサーはテーブルに座り、維新の会・橋本代表の問題がニュースとして放映されているのを見ているようでした。ニュース番組が終わり、コマーシャルになった段階で、私は席に着き、いよいよ本番です。持って行った資料とパネルを並べると、反町さんから、「パネルは、使わないでください。照明でハレーションを起こすので映らないから言葉で説明してください」と言われました。

さて、困りました。保育が抱えている問題について説明するには、いろいろなことを説明しなければならず、パネルを使えば短い言葉で説明できる考えていたからでした。

そのパネルを使ってはいけない。説明の手立てを奪われた私は、本当に困っていたのです。幸い、林市長は結構長い時間、橫浜方式について説明してくれましたので、気持ちを取り直すことができました。

私への最初の質問は「株式会社運営の保育所についてどう思うか」ということでしたので、やはり「国基準の不十分さ」を説明する以外に方法はないと決心しました。

その時、使おうとしていたパネルはこれです。この図は共励保育園の保育士・山村由希子が描いてくれたもので、国の保育士配置基準で保育をする4月の状況を示したものです。]

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そもそも1対6というのは、六つ子の面倒を見るということです。それを11時間から13時間もの長い間保育する。これは無理です。ですから、地方公共団体は国の基準に何らかの上乗せをして、この人間的でない保育の現状を和らげてくれていたのです。仮に橫浜市が4対1ということで加算をしてくれたとしても、4つ子を面倒見るということですから、イラストの保育士が、オンブにダッコ、それに保育士のエプロンをつかんでいる子、泣いて寄ってきた子、という具合ですからとても大変なのです。

この、「あまりにも不十分な国基準」ということを理解していただけないとすれば、私がいかに株式会社運営の保育所の問題性を説明しようとしても、チンプンカンプンになってしまうでしょう。私は、このイラストを使う事を禁止されてしまったのです。

もっとも、全くの打ち合わせなしにスタジオでライブ放送をしたのですから、反町さんとしても、事前に了解していないようなイラストを使うということについては、許可はできなかったのでしょう。

そのような訳で、私の前半の説明は、よく理解されないものになってしまったと思いますが、それでもその場に私を置いてくださり、質問を投げかけてくれましたので、私はちょっとは救われたのだと思います。

番組を見始めた段階で、息子や妻は、「どうなるだろうか、ハラハラ・ドキドキした」と言っていました。

(続く)

イノベーション・オブ・ライフ

イケダハヤト氏ご推薦の世界で最も影響力のあるマネジメント50人(Thinkers50)で第1位を獲得したクリステンセン教授のハーバード・ビジネススクールの最終講義「イノベーション・オブ・ライフ」(クレイトン・M・クリステンセン著)を読みました。

イケダハヤト氏は、共励保育園にまで足を運び、3時間半の取材後、ご自分のブログに共励保育園の保育について印象を書いてくださいました。その後、拙著「便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの」についてイハヤト書店で紹介してくれています。

http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/20136(イケダハヤト氏の感想)

http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/20150(ノマド・ワーキングについて)

さて、表題のイノベーション・オブ・ライフ、この本にはとても大切なことが書かれています。子を持つ親のための必読書です。

「ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」(How will you measure your life.?)と副題し、豊かな人生を送るために、ハーバード・ビジネススクールを卒業する若者へ贈る言葉としてまとめられたものです。

その中の「人生の投資を後回しにするリスク」(102ページ)には、次のように記されています。

『とくに前途洋々な若きエリートたちが陥りがちな間違いは、人生への投資の順序を好きに変えられると思いこむことだ。たとえばこんなふうに考える。「いまはまだ子どもたちが幼くて、子育てはそれほど大事じゃないから、仕事に専念しよう。子どもたちが少し成長して、大人とおなじようなことに関心をもつようになれば、仕事のペースをおとして、家庭に力をいれればいいさ」。 さて、どうなるだろう? その頃には、もうゲームは詰んでいるのだ。人生の試練を乗り越えるためのツールを子どもたちに与えるには、それが必要になるずっと前から・・たぶんあなたが思っているはるか前から・・子どもに投資しなくてはいけない。』

以上のように前書きして、生後数年間の子どもへの関わり方がいかに大切かを示します。ハーバード・ビジネススクール版「三つ子の魂100までも」です。

生後2年半までの、「親の語りかけ」が与える影響はとても重大で、この語りかけについては、単に子どもに何かを語りかければいいというわけではなく、「仕事の話」(用向きの話)という子どもに一方的に指示する言葉がけより、「言葉のダンス」という親子で楽しく言葉を交わす言葉がけの影響がとても大きい事を知らせてくれます。

そして、子どもたちが学校にあがってからの追跡調査でも、子どもたちが生後30ヶ月間に聞いた言葉の数と、成長してからの語彙と読解力の試験の成績とは、とても強い相関(0.78)があったとのことでした。

同じクリステンセン教授の著書「教育×破壊的イノベーション」の第6章「幼年期が生徒の成功に与える影響」には、幼稚園入園前になされるべきことがうまくなされれば、学校の仕事はかなり楽になるとして、次の3つの事をあげています。

1.幼児期に知的能力を開発すること。
2.強い、肯定的な自尊感情(核となる自己像)を養うこと。自尊感情は生涯にわたって育まれるが、その基盤は幼児期に確立される。
3.生涯にわたって学習を継続する動機となる、知的好奇心を触発すること。

これらは、共励保育園の総合保育の実践で子どもたちが獲得するようカリキュラムに組まれている内容となっています。

さて、仕事ばかりに心を奪われている親や政治家たちに、クリステンセン教授は次のように助言しています。

『人を雇って入学前の語りかけに成功していない親の代わりをさせる計画に資金を提供するよりも、親になる前の子どもに、親になるとはどういうことなのかを教えた方がおそらく効果が高いはずだ。(中略)生後間もない時期にどのような方法で子どもとふれあえば、子どもの学業面での成功を助けてやれるかという知識は、世代を超えた学業不振と貧困の悪循環に子どもとともにとらわれてきた、スラム街の若いシングルマザーに大きな利益をもたらすだろう。』

『また、この知識は将来の共働き夫婦にも役立つだろう。親になったばかりの共働き夫婦は、出産後できるだけ早く職場復帰しようとするあまり、乳幼児を早い時期から保育士の手に委ねることが多い。だが大勢の子どもを預かる保育士は、仕事の話(用向きの話)で手一杯なのだ。』(156ページ)

この助言は、ハーバード・ビジネススクールからの助言です。子供を保育園に預ける事ばかりに懸命になっている日本の親の方たちも、一歩立ち止まって、クリステンセン教授の助言に耳を傾ける必要があると思います。

親は、保育園には限界があることを、まず第一に知らなくてはいけませんし、「あまりにも不十分な国基準」だけで運営される株式会社運営の保育園では、「言葉のダンス」がどれほど保障できるかは、大いに疑問なのです。

どの子も自分のお母さんが、世界一大好きですし、お母さんとの対話(言葉のダンス)を望んでいます。その言葉のダンスは、子どもが言葉を獲得するずっと前から(生後12ヶ月が一番大切とのこと。また、胎内にいる間から子どもに語りかけることはとても大切と言われる方も多いです。)必要で、大切であるということは、やはり子どもが小さいうちは(特に0歳や1歳の子どもたちに関しては)、親が自分で育てることが大切のようです。

親だけでは大変ですので、子育て広場を利用すれば、子育てはとても楽しい体験になるはずです。012歳の子供を母親と分離させてしまう保育園の数を増やすより、親子で一緒にいられる子育て広場の方が、子どもにとっても、お母さんにとってもメリットはずっと大きいのです。それに、無理に保育園に預けようとしなくてよいのですから、待機児解消の切り札にもなります。

良識的な保育者は、集団での保育や教育は3歳からが望ましいと思っていますし、クリステンセン教授が指摘するように、012歳期での親との関わりが、後の集団保育・教育の質を支えるというのは、保育現場でも同意見です。3歳以降の集団保育が良い効果を持つことができるのには、012歳児期の親との関わりがとても大切だということです。

安倍総理が3歳までの育児休業を推進してくれることは、子どもたちにとって福音となります。お母さんにとっても、これは喜ばしいことなのです。それを、ご自分の仕事のキャリアと引き換えにするというのでは、あまりにももったいないのです。キャリアは何とか取り戻せますが、子どもの0歳や1歳の時期を取り戻す事はできないからです。

キャリアが取り戻せないと思い込むとしたら、会社がそのように仕向けているからでしょう。子育てを終わってから仕事に戻って、とても立派な成績を残している女性もいると聞いています。森雅子少子化担当大臣もそうだと思います。

20年経てば、0歳の子は20歳になります。社会に出てきた子どもたちが、よく育つかどうかは、012歳の頃の親との関わり(言葉のダンス)に強い関係があるとすれば、子育て時期のお母さんに対する配慮は、会社への投資であると社長さんも思った方が良いのです。

会社の社長さんが、若者を採用する段階で、社会的な力がないと悲鳴を上げていると聞いていますが、子どもが012歳のときに投資が大切だというクリステンセン教授の助言に耳を傾けるべきだと思います。これは、イマジネーションの問題でしょうか?いや、科学的に調査した結果、引き出された結論です。脳科学的にも証明されるでしょう。

日本の会社の社長さん、どうぞよろしくお願いいたします。

森まさこ少子化担当大臣に期待する!

5月6日の午後10時から放映された「ニッポンの大疑問αーどうする?少子化対策」(BS日テレ)で、森まさこ少子化担当大臣が、日本の子育てに、希望が持てるような発言をしてくださり、大変嬉しい思いを持ちました。

録画をしなかったので、発言の正しい内容は再現できませんが、私が感じたことを述べたいと思います。

以前、BSフジの「プライムニュース」に登壇されたときは、そばにいた藤沢久美さんがよく話され、森さんはあまり語らない人だと思っていましたが、その印象は消え去りました。

今回、森大臣は、とても見識のある意見を述べて下さっています。

特に母親の働き方について、女性のアナウンサーに「あなたは、お子さんをお持ち?」と逆質問をしてから、ご自分の体験を語り、「子供を二人育てながら、(長時間?)働くなんてムリ!ムリ!」と言い切っていたところが、とても潔かったです。

また、統計数字を使って「日本人絶滅危惧種」になってしまうということを、おっしゃっていましたが、その言葉の裏には、「子育てを大切にしないと」という意味が含まれているようでした。そうです、「子育てをしない哺乳類は絶滅危惧種になります。」

世の中では、働く女性から、「3年の育児休業は現実離れしている」との意見が多いようですが、森少子化担当大臣は、「働きながら子育てをしている人は何パーセントか知っていますか? 約25%ですよ!残りの75%は自分の手で子育てをしています」と発言し、子どもたちを保育園に預けたい人たちばかりの意見だけではなく、子供を自分の手で育てたいと思っている大多数の人達の意見を尊重しなくてはいけないことを強調され、働き方の見直し、いろいろな形の働き方が認められることが大切であることを訴えておられました。

そうです、子供が小さい内は自分の手で育てたいという母親は、国立人口問題研究所の出生動向調査でも、まだ69.5%います。埼玉県では、幼稚園に通う子どもたちは、70%だそうです。

マスコミは、ご自分達がそうだからかもしれませんが、待機児解消を叫ぶ一部の発言力の強い人達の意見を取り上げ過ぎのような気さえします。

森大臣は、少子化問題は、結婚しない若者に原因があり、経済的状況や若者の働く環境を整える策がまず取られなくてはならないと断言されていました。私もその通りだと思います。

子どもたちが求めて止まないお母さんを長時間働かせるより、若者が働く方が絶対に良いはずです。

いくら昨今の若者が外国の若者と比べて見劣りするからと言って、(これはある証券会社の支店長さん(元人事部長)がはっきり申していたのですが)、やはり日本の若者を育てていく責任は会社にはあるのだと思います。

尾木直樹さんの発言は、良くもあり、悪くもありでした。

株式会社の運営する保育園の危うさについては的確に指摘しておられましたが、「少子化対策には、非嫡出児も多いに認めてどんどん生んでもらうことがよい」などと発言されました。一体その子どもたちを誰が育てるのでしょうか。

決して、差別をするわけではないのです。夫婦揃っていても、一人の子供を育てるのは、とても難しいのです。我々保育者も一生懸命援助はしますが、やはり無理がでてきます。

「保育園に預ければ、子供たちの幸せが確保される」とは、とても言い切れない状況が広がっている以上、私たち保育者は保育の現場の状況をしっかり訴えなくてはならないのだと思います。

横浜の待機児を解消した事例は、待機児問題解消策の決定打のようにマスコミに取り扱われており、安倍総理も「横浜に続け!と明言されておりますが、あれで大丈夫でしょうか。

多分、横浜市の待機児解消策は、それ程遠くない将来に、問題が噴出するような気がします。すでに問題点も報道されているようです。5年後、横浜の小学校がどんな状況に見舞われるか。私は、学校の先生がその答えを示してくれると思っています。

イノベーション・オブ・ライフの著者 クレイトン・M・クリステンセンは、問題の一部のスナップショットを見ただけで対策・施索を立てることの愚かさを伝えてくれています。

全体像を理解できる人が施索を立てるのであれば、物事に必ず付随する裏表の問題について、少しは対応が可能にはなると思うのですが、待機児対策を見る限り、一部の強い意見によって、際立った問題だけに焦点が当てられ、その問題を解決するよう政治や行政に迫る強い動きが、結局問題を更に悪化させてしまうのではないかと感じられるのです。これは愚かなことです。「群盲像をなでる」にならないようにしてもらいたいものです。要は、現実の起こっている問題の真の出所を見つけることが必要なのです。そこを曖昧にすれば結局問題の解決には至らないのです。

さて、保育士は、保育の知識の欠けている総合規制改革会議のメンバーに、その誤りを教えてあげなければなりません。「子供たちのことを考えようとしない、考えることができない人達が、国の将来を語ることはできません。」

以上

香山リカのココロの万華鏡で

平成25年4月9日付、毎日新聞の「香山リカのココロの万華鏡」に次のような願いが書かれていた。

「いま子育て中の人には理由や条件抜きで、子どもに「世界一かわいいわね」「こんなにお利口さんはいない」と声をかけてあげてもらいたい。」、と。

香山氏は、親からの愛を受け取ることができなかった小説家の佐藤亜有子さんの若すぎる死を嘆いている。そして、「子どもの頃に親から愛されなかった」というココロの傷が、大人になってからも癒えない人は少なくないと指摘する。子どもの頃に無条件で愛され、思いやりをもらった子は、他人を信じることができる。そうした体験が不足すると、他人を信じることができにくくなるばかりか、自分をも信じることができなくなると言われる。

だから、香山氏は、子育て中の親は無条件で子どもを愛して欲しいと訴える。

杉並区を筆頭に、足立区、大田区、はたまたは埼玉県まで。待機児の子を持つ親たちの行政不服申請が続出している。

どうしても子どもを保育園に預けたいらしい。しかし、預けられる0歳や1歳の子供たちの心を考えてみれば、その子たちが、喜んで保育園に預けられたいと思っている訳がない。

世界一大好きなお母さんと一緒にいたいのである。

確かに、家のローンや家賃のことを考えれば、妻が働かなければやっていかないという状況は理解できる。でも一方で、柳美里氏が著作「家族の標本」で訴えていたこと、「家族の不幸は家のローンから始まる」といったことも考えてしまう。

お金が大事か、子どもが大事か、どっちだろうか。とにかく子育ての時間が失われる。子どもは一対一の関係を親に望んでいる。保育園ではそれができない。

昨日来園した保育園のパネルの修理にやってきてくれた部長さんが、「この年度末は、とても忙しかった。とにかく一ヶ月で保育園にしてくれというような要望が相次ぎ、結局手抜き工事のオンパレードになってますよ。」と、嘆いていた。

補足するが、この部長さんが扱ってくれたパネルはもう35年を経過しているのに、きちんと修理にやってきてくれるのですよ。このような方だから、現状について嘆かれているのだろう。

お話を聞いて、突貫工事で保育園を作っている社会の状況が分かった。やはり、この国の保育施策は、曲がり角を曲がってしまったのだと理解できた。

厚生労働省の村木厚子さんが、待機児解消のため、法律を前倒しにして、無認可保育所に国の補助を出すというようなことを始めたから、無節操な会社が、どんどん保育所を作り始めているということなのだろう。本当に困ったことだ。

あの藤永保先生から、熱き賛同のお手紙をいただく!

拙著『「便利な保育園」が奪う本当はもっと大切なもの』について、保育・教育分野の権威、お茶の水女子大学名誉教授の藤永保先生からお手紙をいただきましたのでご紹介いたします。

藤永先生のご著書「創造性教育」は、共励保育園の保育実践を理論的に支えてくださったものです。当時、保育士の皆さんと読み合わせをしながら学んだことを思い出しました。先生、有り難うございます。

 

藤永保先生からの手紙

(発達心理学者・お茶の水女子大学名誉教授)

平成25年2月20日

エデュケア21研究会でお話を伺ったとき、多年のご経験に裏打ちされた周到な保育を行っていられることに感銘を受けました。

今回のご著作は、そうした実践を続けてこられた方にふさわしい力作です。保育所での乳幼児にはどんな処遇が必要か、またそのために乳幼児の家族との協力と連携が不可欠であることがよく感得できます。

実践記録も、現在の保育所一般の水準からすると、よくもここまで考え抜き具体化できていると感嘆させられます。

その意味で、私が最も感動したのは、貴園保育士の方々がふつうは求められることのない厳密な保育計画の意義を理解し、進んでそれに取り組む姿勢です。勤続年数が平均よりはるかに長いというのも、驚きです。

保育所であろうと幼稚園であろうと、保育者の士気——あえていえば使命感の高さが何よりも大切であり、そのためには園長に意欲と見識があり、それが職員と保護者に十分浸透していることが必要だといつも痛感させられています。貴園には、それが実現されていることを感得できました。

政治家や官僚は、就学前の保育・教育が生涯発達の最初のステップ——基礎を作り、その後の発達を規定しかねない重大な意義を持つことをほとんど理解していません。

待機児童解消だけが急務と考え、保育所の利用者とは保護者以上に子ども自身であるという自明の事実に気づいていません。だから、子育て政策に登場するのは、ほとんど効率化を説く経済学者だけという誠に惨憺たる有様になっています。

そこに、営利目的の企業が参入し、大きな利潤をあげて成功を誇っている例もあることは私もよく知りませんでした。貴著により、それらの営利保育所の実情が具体的に報告されているのも貴重な資料です。

他方、私が思うには、幼稚園界にしろ保育所界にしろ、代表組織とされているのはみな経営者団体であり、族議員に陳情して補助金をもらうことだけが自分たちの使命と錯覚しているような気がします。

勢い、自己の団体の利益を守るのに汲々とする余り、協同して就学前保育・教育の意義を啓蒙し、正当な自己主張を展開する見識すら失われつつあるようにみえます。まして、保育者の専門性の主張と待遇改善については、めぼしい主張はきいたことがありません。これでは自他ともに心細い限りです。

 私は、貴著の今回の主張の核心に多いに賛同します。早速、先日の私達のNPO講習回でも紹介させていただきました。私自身も、この問題を捨て置けないと感じ、4月始めに一書にまとめて公刊する予定でおります。その際は、献本させて頂くつもりですが、同憂の著書が世に出たことには大変嬉しい思いです。

藤永 保

あの北本正章先生から賛同と激励のお手紙をいただく!

拙著『「便利な保育園」が奪う本当はもっと大切なもの』について、名著・ジョン・ロックの「子供の教育」を翻訳された、青山学院大学教授の北本正章先生からコメントが届きましたのでご紹介いたします。

 

北本正章先生からの手紙

(教育学・子ども学者・歴史家・青山学院大学教授)

2013年1月31日

さて、このたびはご著書『「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの』(幻冬舎ルネッサンス刊)のご出版、おめでとうございます。

何といってもこのたびのご著書は、保育、幼児教育の現場フィールドで長年、親子の現実を見てこられたお立場からの問題提起ですので、迫力がありますし、説得力があると感じました。

公的補助で保育サービスを上から整備すればするほど税金がかかり、伝統的な育児のネットワークが遮断されやすくなり、サービスに依存し、子育ては親自身が責任を持ってすると言うことが本末転倒のサービス論になってしまい、親の育児能力が低下するというパラドックス、これは、男女共学の拡大や、女性の社会進出を政府が主導し、女性や若者の労働力を安く買いたたく企業に加担した近代福祉政策の罠なのだということ、「意図と結果のパラドックス」(マックス・ヴェーバー)なのだということが、説得力あるメッセージとして響いてきます。

そして、こうした問題提起に対してはすぐに、女性を家庭に囲い込む保守的発想であるなどとレッテル張りをする人が教育学者やジャーナリズムに少なからずおりますが、長田先生の問題提起は、保守とか革新という枠組みを超えたもっと根源的で普遍的な教育の本質に近いところでのものであると、小生などは受けとめています。

そして、歴史家として見た場合、いつの世も、どの社会も、真実を探りあてる人はいつも少数派です。正しいことがすんなりと多数派の賛同を得ることは滅多にありません。しかしそれでも、教育の真実の近くまでたどり着いた人は、諸困難と無理解の中でも、正しい真実を訴え続けるというミッションを帯びます。わたしは、少数派の周縁にいる者として、長田先生の実践と問題提起をそのように見ています。

わたしもだいぶ前の著作で、教育の近代化の中で、ヨーロッパ諸国では、育児と教育が次第にエキスパートに依存するようになってきたために、子育ての必須基盤を構成する親の育児能力が低下してきているのではないかということを問題提起し、その書評が日本教育学会の紀要「教育学研究」でも取り上げられたことがあります。長田先生のご著書では、こうしたエキスパート化が、もはや歯止めがきかないほどの大きな力となって子どもの育成環境に危機的にはたらいていることが、よく読み取れます。

政治家や行政者のように年度年度の予算枠的な発想、あるいは次の選挙のためにしか教育のことを考えない人たちがこの切実さを正しく理解できていないことに、もどかしさを感じている人は多いと思います。

今回のご著書の問題提起に対して、厚生省の心ある官僚と、それを支えるエキスパートの方々、教育学や子ども学の専門家や研究者はしっかり目を見据えて、応援していかなくてはならないと思っています。

今日の保育、とくに最初の3年間ぐらいの子どもの教育—とそれを支える若い夫婦の雇用の安定—についての問題提起と、実践に根ざした解決策の二つの部分それぞれが、心ある保育実践者や為政者、研究者の間で、そして何よりも世の親御さんたちの間で主体的に共有されるよう、わたしも、未来の父親、母親である学生たちに本書の問題提起を伝えていく所存です。いずれ課題図書として授業や研究会などで読み広げてゆくつもりです。

頓首再拝

2013年1月31日

北本正章

『「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの』が増刷となりました。

『「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの」が増刷となりました。新宿紀伊国屋書店では、保育フェアーが行われており、そのコーナーで販売されていました。全体がピンクやブルーの表紙の保育関係書籍の中に、グレーの本が積まれているのですが、ちょっと場所が違うと思いました。

この本は、どちらかというと、社会学の部類に入ります。政治や行政の問題です。書店担当者の方が、この本を読んで、展示場所を変えてくれるとよいと思いました。

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今年の保育展も多くの参加者で賑わいました

2月17日(日)に共励保育園の保育展が開催されました。

「子供の楽園」と称したこの保育展は、共励保育園の一年間の保育の全てが展示されます。

0歳から5歳までの、子供たちの発達が理解できるような展示になっており、その年齢に応じた保育・教育の実際が、当日参加した子供たちの遊んでいる様子から理解できるようになっています。

特に、親の理解と協力を得て、初めて実現できる保育・教育については、これはやはりお出でいただき、直接感じていただくことによってご理解いただけるのではないかと思っています。来年も開催いたしますので、是非足をお運びください。

共励第一保育園には全部で753名の方に参加いただけました。その内、保育関係者75名、その他51名、共励保育園の園児・保護者・家族で627名となっています。

品川区では、ここ5年連続で保育関係者が見学にお出でになります。4年前は3名、3年前は10名、2年前は30名、昨年は60名、今年はどうも、80名近くになっています。数が合わないのは、約50名が共励第二保育園、第三保育園に分散されたからです。

(3つの保育園に見学に来られた保育関係者は、全部で120名にも及びました。)

なぜ、こんなに一つの保育展に繰り返し、繰り返しお出でになるのでしょうか。品川区の保育士の先生が目指している、または実現したいと思っている「つながる保育」の実際が、共励保育園の保育展に見ることができるからと聞いています。

今年は、区の現在の部長さん、その前の部長さん、元埼玉県教育委員会委員長の松居和先生、宮崎県からお出でになった「よいこの森保育園」の副園長先生、埼玉県の「汽車ぽっぽ保育園」の渡辺園長先生、そうか草花保育園の川島園長先生と、保育行政について、熱く語ることができました。そこへ、衆議院議員の萩生田光一先生が加わり、今後の保育のあり方、自由民主党の保育施策、安倍総理大臣がどのような方向に家族・保育施策をもっていこうとしているのか、というような話も加わり、実のある意見交換ができました。

どの方達も、共励の保育方針に賛同してくださり、共に手を携えて、日本の子供たちのために努力していこうとことになりました。共通する意識は、「このままでは、日本の子供たちがアブナイ!」でした。

拙著「便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの」について、いろいろな意見が出、この本をきっかけに、いろいろなところで保育について議論を広げることが大切であるとの松居先生の意見です。

既に松居先生は、自民党の議員先生方に本を配っており、萩生田先生は、党の保育部会でこの問題を取り上げることができるよう努力をされるとのことでした。

宮崎県では、この本については感心が高くなっているとのことです。いよいよ、保育問題について、本当のことを語れる準備が整いつつあるようです。私も頑張ります。

最後の拙著「便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの」の宣伝です。

八王子市内のくまざわ書店で、「売れ筋ベスト10」の中に入っていると、ブルガリア出身で共励保育園にお子さんを預けている鈴木ゲルギナさんが報告してくれました。

増刷も決まりました。この本を多くの人が読んで、保育について考えていただけると嬉しいです。37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3

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「便利な保育園」が奪う本当はもっと大切なもの」が出版されました。

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共励保育園の主任の先生たちと、「子供たちの発達と自分づくり」の表をまとめ上げ、その表の解説を文章にまとめ上げ、出版しようと3年がかりの努力を重ねてきました。

ところが、平成24年に、新しい保育システムに関する法律が国会を通り、いよいよ規制緩和が広がって、株式会社が保育事業に参入してくることが明らかになりました。

そこで、それぞれの年齢の発達の冒頭に書かれていた保育施策の問題点について、抜き出して一冊の本にした方が良いとの結論になり、その部分をまとめたのが本書です。時期的には、保育制度が変わるときに、広く日本の皆さまに保育問題を深く考えて頂こうと、1月の15日の発売となりました。

ノマドワーカーのイケダハヤトさんも、この本を読んで下さい、次のような紹介をイハヤト・書店で紹介下さっています。

『これは多くの方に読んで、ぜひその賛否と解決策について考えてもらいたい作品です。保育に携わる方はもちろん、子どもを持つ親、経営者の方にもおすすめの一冊。』

既に、イケダハヤトさんのツイッターには賛否両論が渦巻いているとのことです。

保育システムがきちんと機能するには、働き方の見直しが大前提です。ワーク・ライフ・バランスが叫ばれているのに、子供を預けることばかりが優先される世の中の傾向です。

EUでは、「家族責任」という概念を確立し、親が家族に対して責任が負えるような働き方や子育て支援が実施されています。オランダでは1.5稼働政策が実施され、お父さんとお母さん二人合わせて、1.5人分の働き方で常勤正社員となれます。デンマークでは、午後の四時には親は仕事を終えなくてはならないという法律ができています。午後5時には、保育園には子供たちは見あたりません。

これも、みんな家族の大切さを理解したことから発せられる施策です。核家族で、目一杯八時間働くと、家庭を成り立たせる時間と余裕がなくなること、家族が壊れると社会制度では補えないこと、夫婦二人そろっていても、子育てをするのは大変であること、などを理解した上での保育施策であり、労働施策だと思います。

日本の社長さんや経団連の方々も、少子化で労働者が減ることばかりに目がうばわれているようですが、早く目を覚ませてもらいたいものです。